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8月4日

 その日は毎年行なわれている地域密着型の盛大なお祭りが開催される日だった。昔はその前日を巻き込んで三日間のお祭りを開催していたというのに、昨今では予算の都合からか、土日の二日間だけとなっていた。

 最高気温が三十度をゆうに超えているため当たり前に暑い。まだお祭りの会場に行ってもいないのに露骨に汗をかきたくなかったので、バス停の見える近所のローソンを避暑地とした。

 待ち人はまだこない。当然だ。まだ待ち合わせ時間までは十五分もある。かなり几帳面、もしくは心配性な人でもない限りは十五分も前からわざわざこの炎天下に外に出てくるはずがなかった。

 俺がわざわざこんなに早い時間に出たのは正直に言えば待ちきれなかったといういかにも子供っぽい理由がなかったとは言わない。お祭りに行くのに誰を誘おうかとわくわくしていた時は、本当に歳が十歳くらい若返ったような気がした。まさしく、遠足の前日に眠れなくなった小学生の状態だった。

 銀魂の新刊をパラパラとめくりながら、自分でも大げさなくらいに、テンポよくバス停を見つめていた。二通りある停車場のどちらに、俺たちが乗るべきバスが来るのかわからなかったため、嫌でも確認作業が多くなってしまう。

 バスが来るはずの七分前になってやっと俺は動いた。適当に読み流していた銀魂を読み終えたことと、そろそろ待ち合わせ場所に登場するには頃合がよかったからだ。

 祭り会場で売っているようなぼったくり当然の飲み物を買わなくていいように午後の紅茶を買って、ついでにガムを二つ買う。最近やってるCMで見たやつだ。ほら、KAT-TUNとか言う奴らが宣伝してるやつ。ガムがおいしいかどうかなんてことはこの際味はどうでもよかった。ガムを買ったのはある意味餌付けに似た意味合いがある。今日会うメンバーはけっこう初対面が多いので、ガムを与える事によって少しばかり打ち解けてもらおうという作戦を咄嗟に思いついたのだ。そんなものがなくとも、トークで適当にお茶を濁す自信はあるのだが一応の保険ということで。

 ありがとうございましたー、の声を聞きながらローソンを出た。その日の最高気温を記録する時刻からは一時間以上経っていたけど、外の気温はやっぱり暑かった。さっそくではあるが携帯してきた団扇はフルに活用する事にした。

 待ち合わせのバス停に人影を確認すれば、案の定反対側の道路に安置されているバスの停車場を示すオブジェクトの横には小柄な人影があった。近くにあるポイントに人がいない以上はあちら側が正解なのだろう。消去法だ。

 俺は車が来ていないことを確認して反対歩道に渡った。

 俺の姿を確認するなり、まるで花が陽光差し込む最中で開花したかのような笑顔を見せてくれたことに素直に喜びを感じた。

 けれども、ちっぽけなプライドも俺は持っているため、そんな心の機敏を悟られぬように極自然に俺は話しかけた。

「久しぶり」

「うん。ちょっと久しぶりだね」

「おっ。浴衣着てるね」

「友達が来て行こうって言ってたから私も着てきたの。どう?」

 俺は心の中で友達にグッジョブと送った。

「似合ってる似合ってる」

 祭りに行く楽しみは何かと問われれば、浴衣の女の子が見れると自信満々に豪語する俺にとってこの光景はまさに至福。私服姿とは違った趣とお祭り特有の興奮作用をかきたてられる雰囲気にはぴったりとマッチしていた。

 うん、最高です。

 さすがに口に出すわけには行かないので心の中で絶叫しておいた。

「よかった」

 ほっと安堵した表情。やはり普段は着ないようなものを着るのは多少不安なものらしい。

 久しぶりに会ったからこそ、話題は絶えることもなく、ほどなくしてバスがやってきた。二分ほどの遅れだった。

「フュートくん先に乗って」

 あんまり先に乗るのは好きではなかったけど「浴衣を着てるとバスに乗りにくくて」ということを言われたので従うことにした。

 幼馴染のほうを見れば、バスのステップに大層苦戦していた。俺は苦笑した。浴衣というものは魅せることに関しては大した効果を発揮するが、長期移動や上下運動には向いていない。まあそれは当たり前のこと。

 ふとした思い付きで手を差し出そうと思ったがやめた。必要以上の馴れ馴れしさを発揮することは俺の心の結界を決壊させてしまうような気がしたからだ。

 普段の二倍くらいの時間をかけてバスに乗り込んだ俺たちはすぐ近くの席に隣り合って座った。なんの躊躇いもなく、隣同士で。

「バスに乗るのは久しぶりだ。もしかすると五六年は乗ってないかもしれないな」

「私は学校があるから毎日乗ってるよ」

 幼馴染は毎朝バスに乗って、ここらへんでは一番大きな駅まで移動して電車に乗っている。俺みたく自転車に乗って近くの駅から乗り換えた方が金がかからないとは思うんだけど、幼馴染は自転車を持っていないらしい。俺なんかは自転車で高校に通っていたもんだから、自転車がなければ満足に移動が出来ないというのに。

 そのことが軽くカルチャーショックではあった。

「そういえば、今日来るメンバーって一体どんな人か教えてくれないか?」

 俺は今日のこの集まりには特別参加とさせてもらっている。なんせダメもとで前日に幼馴染にメールしたのだから、どう考えても飛び入り参加となる。初めは偶然出会ったことにしようという作戦だったのだが、それも不自然なので、結局今日の集まりの代表の方に幼馴染が連絡をしてくれた。ありがたやありがたや。

 だからこそ、俺にとっては未知とも言えるそのメンバーについてはいち早く知っておく必要があった。

「いいけど、どんなことが知りたいのかな?」

「どんなことでも。できるだけ情報があればあるだけ俺に有利だから」

「有利って一体なんのこと」と笑いながらも、今日来るメンバーについての基本情報を話してくれた。俺は出来るだけそれらの情報を忘れないようにゆっくりと咀嚼し、今日集まるメンバーについて思いを馳せて胸をときめかせた。

 そんなこんなしているうちに、バスは目的地に着いた。

「フュートくん先に下りて。浴衣って動きにくくて」

 了承して俺は例によって先に下りた。バスの運転手さんにお礼と二百円を献上して幼馴染を待った。

 幼馴染は乗る時同様、下りる時も苦戦していた。俺はこの時、幼馴染に手を差し出してあげるべきだったんじゃないかと思う。

 今頃になって、そう思っていた。















次回に続く










はい、例によって例の男(なんじゃそりゃ)
フュートです。

夏休みに入ったのに更新できなくて本当に申し訳ございませんでした><

それの言い訳に関してはもう少ししたら書かせていただきますです。

それにしてもこまったもんです。とある方に頼まれた一話短編もまだ出来上がらないし、二万ヒットの感謝の更新か何かもまだまだめどがたたないし、四苦八苦です^^;

でも、いつかは絶対に何かはしますので、もし二万ヒットの記念のアイデアかあればぜひともご意見をおよせください!(ミスター他力本願)

それでは最後にweb拍手返信をします。

7月31日

>>眠いです。セガセガです。
>>基礎数学。30分で終わりました。
>>うん、簡単でした。

お疲れ様ですセガセガさん^^
あー、やはりテストはそんなに難しくなかったんですか。

まあでも自分は経済学に一抹の不安があるんですけどねw(苦笑)

せっかくの長い夏休み!お互い楽しみましょう!

以上です。


ではでは、この夏の暑さに負けないように祈りつつ、今日はこのくらいでノシ^^(次回の更新は三日後くらいにします!)
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